県北地域の小児医療を支えた功労者、延岡市平原町の又木小児科医院院長、又木平八郎さんが22日、
亡くなりました。79歳でした。開業以来、日曜・祝祭日も休まず「365日診療」を続け、
夜間の急患も引き受けていました。地域医療を守らなければという使命感から、
数十年前に病に倒れた際もすぐに職場に復帰しました。
多くの市民から慕われた又木さんの訃報に、関係者から
感謝や追悼の声が相次いでいます。
又木さんは串間市出身です。熊本大医学部を卒業後、1968(昭和43)年から小児科医として
県立延岡病院に勤務し、73(同48)年に又木小児科医院を開業しました。小児科診療の
受け皿が貧しい延岡市で、日曜・祝祭日に休まず夜間も診療することで知られ、
多くの市民が頼りにしていました。
12年前に脳梗塞で倒れたが、手術から3ヵ月後に診療を再開しました。朝から晩まで
精力的に仕事をこなしました。同医院の元事務員木佐貫良子さん(70)は
「『きついきつい』といいながら身を削って仕事をしていた。
大好きな子どもへの思いと、地域医療を守るという責任感が
原動力になっていたと思う」と話します。
子ども3人が受診していた同市平原町の教諭安井安希子さん(38)は「診療が終わると、
『悪くなったら夜中でもいいから来てね』といつも優しい言葉を掛け、安心させてくれた。
穏やかで子どもへの愛にあふれた人。亡くなられたのは
とても残念」と別れを惜しみました。
同市医師会、日向市東臼杵郡医師会の小児科の日曜・祝日在宅当番制が昨年7月、医師の高齢化などで
12から9医療機関に減少した際も、又木さんは継続しました。体調を崩し数ヶ月後に
当番医を退いたが通常診療は続け、同12月に入院するまで診療に当たりました。
木佐貫さんによると、病床でも「あの子は大丈夫なのか」などと患者の
病状を気にしていたといいます。
訃報を受け、「県北の地域医療を守る会」の芝弘光会長(76)=延岡市西階町=は
「日夜子どものために尽くしてくれた。市民を代表して感謝するとともに、
ご冥福をお祈りしたい」と話しました。
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