ヒマワリ畑や滝を描いた水彩画14枚が、日南市上平野町の
軽食喫茶&クラフト雑貨「ちゃいむ」を彩っています。
娘と2人で店を切り盛りしている田中明代さん(60)の母・河野タマ子さん(88)が、
亡き夫と旅行した思い出の地などを描いたものです。
7月にオープンしたばかりの店に花を添える作品は客から好評で、
河野さん自身も「ありがたい」と元気を得ています。
河野さんは幼いころから絵を描くのが好きで「他の子どものように外で遊ばず
絵ばかり描いていたので先生に怒られた」と話していました。
夫の故・義美さんと結婚し宮崎市から日南市に移ってからは
生活するのに必死で絵を書く暇もなかったといいます。
創作活動を再開したのは子育てが一段落し60代となってからでした。
3年前に義美さんを亡くしてからはますます没頭しました。
夫婦で訪れた旅行先の写真、義美さんの遺影に写るヒマワリ畑、旧宅の庭など、
思い出の詰まった風景を忘れまいと絵に残し続けています。
出来上がる作品は温かみのあるものが多いです。
ほぼ毎日描き、朝の家事の後から夕飯前まで長時間に及ぶといいます。
自宅で山積みになった作品の中からお気に入りを店の壁に掛けた
河野さんの長女・田中さんは「母の励みにしたくて飾った。
お客さんが褒めてくれるし、母の年齢を教えると驚かれる」と喜びました。
店で働く田中さんの次女・ひかりさん(31)は「絵は気分転換にも
お客さんと話すきっかけにもなる。ばあちゃんといえば絵。
これからも元気に描き続けて」とエールを送っていました。
河野さんは「絵は生活の中心。思い出に浸りながら描いたものを
飾ってもらいありがたい」と話していました。作品を前に
昔話をするたび、笑顔があふれています。
(宮崎日日新聞 9月19日 抜粋)