日南市南郷町上中村にある山の斜面などに
たわわな実の房をぶら下げている。
近くでカラオケ店を経営する斉藤親さん(74)が
1本の苗木から株分けして増やしたもので、
ひときわ南国ムード漂う光景が近所や
近くを通る人たちの目を引いている。
斉藤さんは十数年前、所有する休耕田に
南国風景を演出しようと、
知人からバナナの苗木を譲り受けた。
バナナは毎年株1本から3,4本の子株を芽吹かせるため、
地道に所有する山に株を移植。
草払い、古株の刈り取りなど独学で
栽培にのめり込んだ。
近年はねずみ算のように株が増え、
約1㌶の斜面がまるで
”バナナの密林”のように。
数年前には2㌧トラック2台分の収穫をしたという。
バナナは通常店に並ぶようなものと大きさは
同じほどだが長さは半分。
酸味と甘味があり、県総合農業試験場亜熱帯作物市場の
無田上重治四支場長は「県内で露地バナナを
まとまって栽培している例は聞かない。
おそらく3尺バナナの仲間で、
年間通して温暖で霜が降りないなど
環境条件がいいのだろう。
実の成長も立派」と話す。
収穫期のこの時期、
斉藤さんは山に入っては株の先端に
下がる房を目掛けて鎌を振る。
今年は台風の影響で折れた株も多く収量は
減りそうだが、「無農薬で安心。自然に育ったバナナを
店の客や知人が食べてくれるとうれしい」と笑う。
そして「将来はこのバナナをジュースや菓子に加工したり、
地元の子どもにバナナ狩りをさせたり
いろんな形で喜んでもらえればいい」と
夢を膨らませる。
(宮崎日日新聞 11月14日 抜粋)
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