夏にはヒマワリが咲き、人懐っこいロバがお出迎えー。高鍋町上江・
南牛牧地区には、米国のカントリー調の雰囲気が漂う。
そこにある木造の建物が牛肉の販売所。その店主が藤原一信さん(35)です。
一信さんは、宮崎ハーブ牛を生産する藤原牧場の専務。
高校、大学ではバスケットボールに打ち込んだという
180㌢の長身が印象的です。
牛舎では、黒毛和種の雄とホルスタイン種の雌を掛け合わせた交雑種など
約1100頭を肥育しています。
社長は父の辰男さん(62)で、一信さんは大学卒業後に入社しました。
辰男さんの代は肥育がメーンだったが、2010年の
口蹄疫以降は一信さんが中心となり
6次産業化に挑戦。
口蹄疫で約1500頭を失い、牛を導入できない期間に群馬県の
全国食肉学校短期セミナーなどに参加し、
加工や経営の手法を学びました。
11年に肉を売る保冷車を導入、12年にはキッチンカーを用いて町内外の
イベントに出店にしました。14年9月、
念願だった販売所を開店。
「対面販売でお客の声を聞き品質向上につなげたい」と一信さん。
店内にはロース、ヒレなど各種部位が並び、
バーベキュースペースもあります。
入り口では店のアイドル的存在のロバ・サニーちゃんが
出迎えてくれ癒されます。
「肉を買いに来てもらうだけでなく、憩いの場にしたい」。
今後は、約2㌶の敷地にルピナスやオリーブを植え、農産物販売市や野菜の
収穫体験など参加型イベントを開く計画。
根底には「地域の支えがあって今がある」との思いがあります。
消防団や高鍋商工会議所青年部、JA児湯青年部などに所属し、
積極的に地域に奉仕する一信さん。
業種の枠を超えて人脈を広げ経営のヒントを得ました。
商議所青年部などで活動を共にし、店のロゴを手掛けた同町南高鍋の
デザイナー古川浩二さん(42)は「何事にも前向きで熱い」と
一信さんの貪欲な姿勢にほれ込みました。
今は、辰男さんが組合長を務める県乳用牛肥育事業農協の事業として、イスラム教の
戒律に従ったハラール処理を施したハーブ牛の国内向け出荷を
11年から始め、今後はイスラム圏への輸出にも挑戦。
「日本産の高品質な牛肉を世界の人に食べてもらいたい」と一信さん。
毎朝5時に牛舎へ行き、世界に通用するブランド育成に力を注ぎます。
子牛にミルクを与える優しいまなざしの中にも、強い意志を感じました。
宮崎日日新聞1月6日より抜粋
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