西都市妻にある同市民体育館の目の前にある焼き肉店
「焼肉苑・齋藤牧場」。昨年4月にオープンしたばかりで、約100席の広々とした
店内は白を基調とした明るい雰囲気です。
店舗設立を中心となって手掛けたのは、同市茶臼原の農業生産法人
「サイトーファーム」の専務、齋藤幸紀さん(32)。
社長で父の弘幸さん(62)の代から肥育に取り組み、茶臼原だけでなく高鍋、木城、
新富町にも農場があり、計約1600頭の和牛を肥育します。
焼き肉店の開店と同時に同ファームで出荷する牛を「齋藤牛」と名付け、
ブランド化に取り組んでいます。ランチではカルビや
ロースなどのメニューがあり、
脂は甘くしつこくないのが
特長です。
ビールかすやおからなどを独自の配合比率で混ぜ合わせ、2、3週間
発酵させた肥料を給餌しています。
「できるだけ地元の方に食べてほしくて」。齋藤さんは同市内に店を構えた理由を語る。
牛肉の出荷先は主に県外で、地元民が齋藤牛として口にする機会は
これまであまりなかったです。
理由はそれだけではない。「西都は自然や史跡が魅力。誇らしい古里のPRに貢献したい」。
西都原古墳群を彩るヒマワリやコスモスには同ファームの
牛ふん堆肥が用いられています。
このことも、観光とのつながりえを意識する1つの要因です。
同ファームは2013年に国の6次産業化法に基づく事業計画の認定を受けました。
同市初の認定だったが、「事業の進め方が分からず手探りで
何とかたどり着けた感じ」と齋藤さん。
県の相談窓口や母校の県立農業大学校の友人らは助言を求め、
フードビジネスを学ぶ県の講座などにも参加。
21歳で家業に携わり、当時からの夢だった焼き肉店に向け一歩ずつ前進しました。
そんな経験から、人材育成の大切さを実感しました。牛の肥育技術や6次化の手法を
学んでほしいと、将来独立を目指す20、30代の従業員3人を雇い、
肥育管理を手伝ってもらっています。
昨夏から動く河野充利さん(31)は将来、実家の和牛繁殖農家を継ぐ考えです。
「肥育は未経験だったので、貴重な経験をさせてもらっています。
6次化は未定だが、ノウハウを身近に学べてありがたい」と感謝します。
来月には、茶臼原の農場に隣接する地で肉の加工場と直売所を開店。
アジア圏への輸出も視野に入れてます。
「接客技術や肉質の向上など、あらゆることに全力で
取り組まなければ」。齋藤さんは穏やかな口調の中にも
熱情をのぞかせました。
毎朝5時に牛舎へ行き、日中は営業に駆け回る多忙な日々は
今後もつ続きそうです。
宮崎日日新聞1月10日より抜粋