かつての地域夏祭り象徴 乗り手や牛 人形で再現
都城市高城町で8年前まで行われていた八坂神社祇園祭の山車が、手作りの人形や
牛の模型でにぎやかに飾り付けられ、地元の高城地区第6自治公民館内に展示
されている。「地域の伝統をどうにか保存できないか」との思いから、
高齢者クラブを中心に住民たちが山車を〝復活〟させた。
この祭りは古くから毎年7月下旬に行われ、2台の山車が楽器を奏でながら、
みこしや仮装行列と共に盛大に街を練り歩いたという。しかし山車の
乗り手となる子どもの減少、祭りを支えてきた商店街の衰退によって
2007年を最後に途絶え、現在は神事だけが行われている。
昨夏、倉庫で眠り続けていた山車を廃棄する話が持ち上がり、高城地区
第6高齢者クラブ(上東正治会長)が「もったいない。当時をしのべる
展示物にしよう」と奮起。
今年1月から山車の補修に取りかかり、乗り手や引き手の人形12体と、
牛の模型を手作り。地元女性グループの協力も得て人形一体一体に
浴衣を着付けし、三味線や鼓、かねなどを持たせ指先の動きまで
細かく再現した。
半年かけ完成させた山車は、長さ6.5メートル、幅2.3メートル、高さ3メートルの
大作で、躍動感にあふれる。住民には8月2日の夏祭りでお披露目された。
同日は演奏の音楽を流しながら、八坂神社から公民館までの約600メートルを
法被姿の子どもたちが元気よく引っ張った。その光景に住民たちは
「懐かしい」「よくできている」と喜んだという。
同クラブの上東会長(77)は「一人でも多くの住民に、古き良き伝統行事を懐かしく
感じてもらいたい。子どもたちにも地域の伝統に関心を持ってもらい、
『また祇園祭やってみよう』となれば一番うれしい」と
話している。
(宮崎日日新聞 8月24日より抜粋)